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●福井先生

 

マイカーを勝手放題させすぎたかという反省の上に、バスの復権というかバスが環境にやさしい、非常に良い乗物ということを市民の人がどれだけ意識しているか判りませんが、バスを見直していただくために昔からのバス、固定観念の中でのバスではなく、バス自体が新世代を迎えること、つまり、いろいろなメニューの変身したバス、新しい姿になったバスで皆の前に登場し、新しい都市づくりに結び付けていくというベクトルの転換が必要ではないかと思います。

 

●藤田コーディネーター

 

太田さん、日本の都市交通およびバスの将来のために幾つかの先進事例、野心的な取り組みを拝見しましたが、東京、名古屋、大阪、福岡といった大都市に適応する難しさもあるかと思いますが、これを含めてメッセージをお願いします。

 

●太田勝敏

 

技術とかハードの問題ではなく、最後にはやはり、我々の都市交通なり都市をどのように考えるかという問題だと思います。自分たちの身の回りの交通、正に生活に密着した交通は、自分たちが参加しながら新しい方向にもっていくという点が一番重要だと思います。

現在の車社会の中に、車の使い方というのを社会的に環境面等から考えて必要な時には使え、その他の時には少し遠慮してもらうというような車の賢い使い方という言い方で、車をTPO(タイム・プレイス・オケーション)によって使い分けるということ、やはりそれを新しい社会という中でどの場所で使って良いのかということを皆である種の優先順位を付けるという段階にきているのではないか。それが大前提で、その時に代替交通手段として、皆が乗りたがるようなバスサービスを提供していただけるのかというのが、バス事業者にお願いしたい一番の課題だと思います。新しいイメージのバスを変身させていかなくてはならないというのは同感です。そのためには、歩かなくてはならないので、歩行環境をきちんとして欲しいというのが大切なことと思っています。

 

●藤田ゴーディネーター

 

モノの本によると、バスの起源は17世紀、あの数学者であり物理学者であったフランスのパスカルが発案したそうです。その時は乗合馬車によるということだったそうです。その後、ジェームスワットの蒸気機関による第一産業革命等を経て、今人類は、空に、陸に、海に、実に様々な交通手段の花を咲かせています。

わたしたちは、それらの様々な花を上手に組み合わせ、国民の福祉や所得の向上に最大に役立てて行く知恵とシステムを求められているのではないでしょうか。少なくともバスというのは駄目という議論にはしたくはありません。

本日は論者の皆様、会場の皆様、長時間ご協力ありがとうございました。これでパネルディスカッション、「人・まち・環境にやさしいバス」を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

 

 

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